アレフランス

アレフランス
ダニエル・ウィルデンシュタインの勝負服
欧字表記 Allez France
品種 サラブレッド
性別
毛色 鹿毛
生誕 1970年5月24日
死没 1989年2月10日
Sea Bird
Priceless Gem
母の父 Hail To Reason
生国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ケンタッキー州
馬主 Daniel Wildenstein
調教師 Albert Klimscha(フランス
→Angel Penna(フランス)
競走成績
生涯成績 21戦13勝
獲得賞金 600万1078フラン
+2万1226ポンド
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アレフランスAllez France1970年 - 1989年)とはアメリカ合衆国で生産され、フランスを中心に競走生活を送った競走馬繁殖牝馬である。フランス牝馬三冠や凱旋門賞などG1競走を8勝する活躍を見せた。競走馬名は「行け、フランス」という意味である。

生涯

誕生

アレフランスは1970年5月24日アメリカ合衆国メリーランド州のスタイミー・マナー牧場で生まれた。父のシーバード凱旋門賞優勝馬で、母のプライスレスジェムはフューチュリティステークスでバックパサーを破るなど7勝を挙げた。オールアロング馬主として知られるやドイツ系ユダヤ人のダニエル・ウィルデンシュタインに購入(0歳秋に19万ドルで買われたとも、1歳時に16万ドルで買われたともされる)され、フランスで調教されることになった。

競走馬時代

2歳時(1972年)

アレフランスは1972年9月、ロンシャン競馬場の牝馬限定戦でデビューした。デビュー戦を勝利で飾ると翌10月にG1のクリテリウムデプリッシュ(現在のマルセルブサック賞)に出走し、後方から追い込みを決めて優勝した。この年のフランスの2歳フリーハンデでは牝馬の中で最も高い評価(58.5キロ)が与えられた。

3歳時(1973年)

1973年4月29日、アレフランスは前哨戦を走ることなくフランス牝馬三冠の第1戦プール・デッセ・デ・プーリッシュに出走。最後方から追い込みを決めて優勝した。

プール・デッセ・デ・プーリッシュ優勝後に馬主のヴィルデンシュタインがダービーステークスに出走させてみようかと発言したところたちまちイギリスのブックメーカーが賭けの対象とし、前売りの1番人気となった。このことがきっかけとなり、牡馬との能力差を計るために5月13日リュパン賞に出走したが結果は7着に終わった。ヴィルデンシュタインはそれでもダービーステークス出走を諦めず、アレフランスをイギリスへ移送しようとしたが馬運車の中で暴れて(それまで移送中に同行させていた羊を同行させなかったことが原因といわれている)脚を痛め、遠征は中止となった。6月10日にフランス牝馬三冠第2戦のディアヌ賞に出走し、2着のダリアに2馬身半の着差をつけて優勝、フランス牝馬二冠を達成した。

ディアヌ賞出走後は休養を取り、9月2日にG3ノネット賞に出走し4着に敗れた後、同月23日にヴェルメイユ賞に出走。2着馬に2馬身の着差をつけて優勝し、フランス牝馬三冠を達成した。続いて10月7日凱旋門賞に出走。1番人気に支持されたアレフランスは直線で追い込んだがラインゴールドに2馬身半差及ばず2着に敗れた。この後アレフランスは直線2000mのコースでスピードを発揮させてみたいというヴィルデンシュタインの希望からイギリスのG1チャンピオンステークスに遠征したがここでも2着に敗れた。この年のフランス3歳フリーハンデでは牡馬を抑えて最も高い評価(63.5キロ)が与えられた。

4歳時(1974年)

1974年、それまで調教を担当していたA・クリムシャ調教師の引退に伴いA・ペンナの厩舎に転厩したアレフランスは競走馬として絶頂期を迎えた。4月に復帰戦のG2アルクール賞を勝つと5月にG1のガネー賞も優勝、6月のG1イスパーン賞では遠く離れた位置から追い込みを決めて優勝した。その後G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスに出走する計画が持ち上がったが輸送の不安を理由に断念され、休養に入った。

陣営は秋の目標を凱旋門賞に据えた。9月に前哨戦のG3フォア賞を優勝。1番人気に支持された凱旋門賞では普段より早めに前方へ進出する競馬を見せ、ゴール前400mの地点で先頭に立つとコンテスドロワールの追い上げをアタマ差凌いで優勝した。この時アレフランスに騎乗していたイヴ・サンマルタン騎手の小骨を骨折し、満足に歩くことさえできない状態であったといわれている。この勝利によりアレフランスは「20世紀最強の牝馬の一頭」という評価を得ることになった。ヴィルデンシュタインはこの後前年に引き続きチャンピオンステークスに遠征する計画を立てたが厩舎サイドの反対に遭って断念した。アレフランスは5戦5勝の成績でこの年のシーズンを終え、フランスの年度代表馬に選ばれた。フランスの古馬フリーハンデでは最も高い評価(69キロ)を獲得した。

なお、この年の夏には実現はしなかったものの同世代の牝馬ダリアとのマッチレースが計画された。両馬が直接対決したレースではいずれもアレフランスが勝利を収めていたが、ダリアもキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを連覇しアメリカへ遠征してワシントンDCインターナショナルを優勝するなど複数のG1レースを勝ち、収得賞金の面ではアレフランスを上回る活躍をしていたためである。両馬は1975年にも2度対戦しているが、いずれもアレフランスが先着している。

5歳時(1975年)

ヴィルデンシュタインは凱旋門賞連覇を夢見、1975年も競走生活を続行させることにした。5月にG1ガネー賞に出走し、連覇を達成。続くG2ドラール賞でも勝利したが連覇をかけて臨んだG1イスパーン賞では3着に敗れた。この後前年と同様キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスへの出走が持ち上がったが前年と同じ理由で断念された。その後凱旋門賞を目標に据え、休養を経てフォア賞に出走したのも前年と同様で、フォア賞を連覇して1番人気で凱旋門賞に臨んだ。しかしレース中に他の馬と接触し左後脚の蹄鉄を落鉄するアクシデントに見舞われ、直線で伸びを欠いて5着に敗れた。優勝したのは最低人気のスターアピールであった。

凱旋門賞の後、ヴィルデンシュタインの意向により2年ぶりにイギリスへ遠征しチャンピオンステークスに出走することになった。アレフランスはスターアピールには先着したもののローズボウルに1馬身半差及ばず2着に敗れた。その後アメリカ合衆国へ遠征することになり、11月1日サンタアニタ競馬場で行われたナショナルサラブレッドチャンピオンシップに出走した。ダートコース、小回り、左回りと未経験の条件が重なったこのレースでアレフランスは先行して失速し、最下位の11着に敗れた。

引退後

ナショナルサラブレッドチャンピオンシップを最後に競走馬を引退したアレフランスはそのままアメリカに留まり、ケンタッキー州のスペンドスリフト牧場繁殖牝馬となった。シアトルスルーヌレイエフなど一流の種牡馬と多く交配し5頭の産駒を産んだが、そのうち重賞優勝馬はフランスの重賞(G3)サンドリンガム賞を勝ったアクションフランセーズのみである。アレフランスの繁殖成績はダハール、リヴリア、デレガントダリアと3頭のG1優勝馬を輩出したダリアと比較されることが多い。

競走成績

1972年(2戦2勝)

  • 1着 - (G1)クリテリウム・デ・プーリシュ

1973年(7戦3勝)

  • 1着 - (G1)プール・デッセ・デ・プーリッシュ、ディアヌ賞、ヴェルメイユ賞
  • 2着 - (G1)凱旋門賞、チャンピオンステークス

1974年(5戦5勝)

  • 1着 - (G1)凱旋門賞、ガネー賞、イスパーン賞、(G2)アルクール賞、(G3)フォワ賞

1975年(7戦3勝)

  • 1着 - (G1)ガネー賞、(G2)ドラール賞、(G3)フォワ賞
  • 2着 - (G1)チャンピオンステークス

血統

血統表

アレフランス血統ネイティヴダンサー系ファラリス系)/アウトブリード (血統表の出典)

Sea-Bird
1962 栗毛
父の父
Dan Cupid
1956 栗毛
Native Dancer Polynesian
Geisha
Vixenette Sickle
Lady Reynard
父の母
Sicalade
1956 鹿毛
Sicambre Prince Bio
Sif
Marmelade Maurepas
Couleur

Priceless Gem
1963 黒鹿毛
Hail To Reason
1959 青鹿毛
Turn-To Royal Charger
Source Sucree
Nothirdchance Blue Swords
Galla Colors
母の母
Searching
1952 鹿毛
War Admiral Man O'War
Brushup
Big Hurry Black Toney
La Troienne F-No.1-x


近親馬

参考文献

  • 原田俊治『新・世界の名馬』サラブレッド血統センター、1993年。ISBN 4-87900-032-9。 

外部リンク

  • 競走馬成績と情報 netkeiba、JBISサーチ
イギリスの旗 タイムフォーム年度代表馬
   

1960年 シャーロッツヴィル・フロリバンダ
1961年 モルヴェド
1962年 マッチ
1963年 エクスビュリ
1964年 レルコ
1965年 シーバード
1966年 ダンスール
1967年 ペティンゴ
1968年 ヴェイグリーノーブル
1969年 レヴモス
1970年 ニジンスキー
1971年 ブリガディアジェラードミルリーフ
1972年 ブリガディアジェラード
1973年 アパラチー・ラインゴールド
1974年 アレフランス
1975年 グランディ
1976年 ユース
1977年 アレッジド
1978年 アレッジド
1979年 トロイ

1980年 ムーアスタイル
1981年 シャーガー
1982年 アルドロス
1983年 ハビブティ
1984年 プロヴィデオ
1985年 ペブルス
1986年 ダンシングブレーヴ
1987年 リファレンスポイント
1988年 ウォーニング
1989年 ジルザル
1990年 デイジュール
1991年 ジェネラス
1992年 セントジョヴァイト
1993年 オペラハウス
1994年 セルティックスウィング
1995年 ラムタラ
1996年 マークオブエスティーム
1997年 パントレセレブル
1998年 インティカブ
1999年 デイラミ

2000年 ドバイミレニアム
2001年 サキー
2002年 ロックオブジブラルタル
2003年 ファルブラヴ
2004年 ドワイエン
2005年 ハリケーンラン
2006年 ジョージワシントン
2007年 マンデュロ
2008年 ザルカヴァ
2009年 シーザスターズ
2010年 ハービンジャー
2011年 フランケル
2012年 フランケル
2013年 トレヴ
2014年 キングマン
2015年 ゴールデンホーン
2016年 アルマンゾル
2017年 エネイブル
2018年 ロアリングライオン
2019年 ピナトゥボ

フランスの旗 凱旋門賞勝ち馬
   

001回(1920年) イギリスの旗 コムリッド
002回(1921年) フランスの旗 クサール
003回(1922年) フランスの旗 クサール
004回(1923年) イギリスの旗 パース
005回(1924年) フランスの旗 マシーヌ
006回(1925年) フランスの旗 プリオリ
007回(1926年) フランスの旗 ビリビ
008回(1927年) フランスの旗 モンタリスマン
009回(1928年) フランスの旗 カンタル
010回(1929年) イタリア王国の旗 オルテッロ
011回(1930年) フランスの旗 モトリコ
012回(1931年) フランスの旗 パールキャップ
013回(1932年) フランスの旗 モトリコ
014回(1933年) イタリア王国の旗 クラポム
015回(1934年) フランスの旗 ブラントーム
016回(1935年) フランスの旗 サモス
017回(1936年) フランスの旗 コリーダ
018回(1937年) フランスの旗 コリーダ
019回(1938年) フランスの旗 エクレールオーショコラ
020回(1941年) フランスの旗 ルパシャ
021回(1942年) フランスの旗 ジェベル
022回(1943年) フランスの旗 ヴェルソ
023回(1944年) フランスの旗 アルダン
024回(1945年) フランスの旗 ニケローラ
025回(1946年) フランスの旗 カラカラ
026回(1947年) フランスの旗 ルパイヨン
027回(1948年) イギリスの旗 ミゴリ
028回(1949年) フランスの旗 コロネーション
029回(1950年) フランスの旗 タンティエーム
030回(1951年) フランスの旗 タンティエーム
031回(1952年) フランスの旗 ヌッチョ
032回(1953年) フランスの旗 ラソレリーナ
033回(1954年) フランスの旗 シカボーイ
034回(1955年) イタリアの旗 リボー

035回(1956年) イタリアの旗 リボー
036回(1957年) フランスの旗 オロソ
037回(1958年) アイルランドの旗 バリーモス
038回(1959年) フランスの旗 セントクレスピン
039回(1960年) フランスの旗 ピュイッサンシェフ
040回(1961年) イタリアの旗 モルヴェド
041回(1962年) フランスの旗 ソルティコフ
042回(1963年) フランスの旗 エクスビュリ
043回(1964年) フランスの旗 プリンスロイヤル
044回(1965年) フランスの旗 シーバード
045回(1966年) フランスの旗 ボンモー
046回(1967年) フランスの旗 トピオ
047回(1968年) フランスの旗 ヴェイグリーノーブル
048回(1969年) フランスの旗 レヴモス
049回(1970年) フランスの旗 ササフラ
050回(1971年) イギリスの旗 ミルリーフ
051回(1972年) フランスの旗 サンサン
052回(1973年) イギリスの旗 ラインゴールド
053回(1974年) フランスの旗 アレフランス
054回(1975年) 西ドイツの旗 シュターアピール
055回(1976年) フランスの旗 イヴァンジカ
056回(1977年) アイルランドの旗 アレッジド
057回(1978年) アイルランドの旗 アレッジド
058回(1979年) フランスの旗 スリートロイカス
059回(1980年) フランスの旗 デトロワ
060回(1981年) フランスの旗 ゴールドリヴァー
061回(1982年) フランスの旗 アキイダ
062回(1983年) フランスの旗 オールアロング
063回(1984年) フランスの旗 サガス
064回(1985年) イギリスの旗 レインボウクエスト
065回(1986年) イギリスの旗 ダンシングブレーヴ
066回(1987年) フランスの旗 トランポリーノ
067回(1988年) イタリアの旗 トニービン
068回(1989年) イギリスの旗 キャロルハウス

069回(1990年) フランスの旗 ソーマレズ
070回(1991年) フランスの旗 スワーヴダンサー
071回(1992年) フランスの旗 スボーティカ
072回(1993年) フランスの旗 アーバンシー
073回(1994年) フランスの旗 カーネギー
074回(1995年) アラブ首長国連邦の旗 ラムタラ
075回(1996年) フランスの旗 エリシオ
076回(1997年) フランスの旗 パントレセレブル
077回(1998年) フランスの旗 サガミックス
078回(1999年) フランスの旗 モンジュー
079回(2000年) アイルランドの旗 シンダー
080回(2001年) アラブ首長国連邦の旗 サキー
081回(2002年) アラブ首長国連邦の旗 マリエンバード
082回(2003年) フランスの旗 ダラカニ
083回(2004年) フランスの旗 バゴ
084回(2005年) フランスの旗 ハリケーンラン
085回(2006年) フランスの旗 レイルリンク
086回(2007年) アイルランドの旗 ディラントーマス
087回(2008年) フランスの旗 ザルカヴァ
088回(2009年) アイルランドの旗 シーザスターズ
089回(2010年) イギリスの旗 ワークフォース
090回(2011年) ドイツの旗 デインドリーム
091回(2012年) フランスの旗 ソレミア
092回(2013年) フランスの旗 トレヴ
093回(2014年) フランスの旗 トレヴ
094回(2015年) イギリスの旗 ゴールデンホーン
095回(2016年) アイルランドの旗 ファウンド
096回(2017年) イギリスの旗 エネイブル
097回(2018年) イギリスの旗 エネイブル
098回(2019年) フランスの旗 ヴァルトガイスト
099回(2020年) フランスの旗 ソットサス
第100回(2021年) ドイツの旗 トルカータータッソ
第101回(2022年) イギリスの旗 アルピニスタ
第102回(2023年) フランスの旗 エースインパクト