オーストリアの憲法

オーストリアの憲法(オーストリアのけんぽう、ドイツ語: Österreichische Bundesverfassung)は、単一の憲法典としては法典化されておらず、様々な法源から構成されている。イギリスの憲法とは異なり、中核となる憲法典として1920年10月1日に制定された「連邦憲法Bundes-Verfassungsgesetz)」が存在するものの、法源の数は一説によれば1000以上とされる[1]

構成

形式的憲法

いずれも憲法と明示されているもの。

  1. 連邦憲法Bundes-Verfassungsgesetz)」[2]
  2. 憲法法律Verfassungsgesetz)」と明示されて連邦憲法と同ランクに位置付けられた、まとまった法律[2]
  3. 憲法規定Verfassungsbestimmung)」と明示される単純法律[3]
  4. 憲法と同ランクの「憲法の地位にある条約Staatsvertrag mit Verfassungsrang)」と呼ばれる条約[3]
  5. 法律と同ランクの条約における「憲法規定」[3]

実質的憲法

「憲法法律」や「憲法規定」だとは明示されていない通常の法律であり、形式的な憲法としての要件を充たさないものの、その内容から実質的には憲法とされる諸々の法律。これに該当するものに、大統領選挙法、国民投票法、国民請願法などがある[1]

なお、オーストリアは連邦制国家であり、9つある連邦州は国家としての性質を有する[4]。そのため各州に州憲法が存在し、さらに各州にも「憲法法律」や「憲法規定」が存在する[5]。これらもオーストリアにおける憲法秩序の一部を構成しているといえる。

出典

  1. ^ a b 槇裕輔 2007, p. 150.
  2. ^ a b 槇裕輔 2007, p. 148.
  3. ^ a b c 槇裕輔 2007, p. 149.
  4. ^ 渡邊亙 2012, p. 2.
  5. ^ 渡邊亙 2012, p. 3.

参考文献

  • 渡邊亙『各国憲法集(3)オーストリア憲法』国立国会図書館調査及び立法考査局〈基本情報シリーズ〉、2012年3月30日。doi:10.11501/3487776。NDLJP:3487776。 
  • 槇裕輔「オーストリア共和国における憲法とその法源 : 連邦憲法の法源とその歴史的一面」『法政論叢』第43巻第2号、日本法政学会、2007年、145-155頁、doi:10.20816/jalps.43.2_145、ISSN 0386-5266、NAID 110006343470。 
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