キヅタ

キヅタ
Hedera rhombea
Hedera rhombea
(2009年9月26日、福島県会津地方
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : 真正キク類II euasterids II
: セリ目 Apiales
: ウコギ科 Araliaceae
亜科 : Aralioideae
: キヅタ属 Hedera
: キヅタ H. rhombea
学名
Hedera rhombea (Miq.) Bean (1914)[1]
シノニム
和名
キヅタ、フユヅタ
英名
Japanese ivy
変種品種栽培品種[3]
  • タイワンキヅタ H. r. var. formosana
  • H. r. var. rhombea
  • シロバキヅタ H. r. f. argentea
  • ナガバキヅタ H. r. f. oblongifolia
  • ナガボキヅタ H. r. f. pedunculata
  • フクリンキヅタ H. r. 'Variegata'

キヅタ(木蔦[4]学名: Hedera rhombea)は、ウコギ科キヅタ属常緑つる性木本落葉性ツタ(ブドウ科)に対し、常緑性ででも葉が見られるのでフユヅタ(冬蔦)[1]ともいう[5]。庭木に利用される[6]

名称

和名「キヅタ」は、ブドウ科の落葉性のツタに比べて、木質が強いことから名付けられている[4]。別名では「フユヅタ」ともよばれ、常緑性で冬でも葉があることに由来する[4]

形態・生態

常緑のつる性木本[6]から多数の不定根(付着根)という細かいブラシのようなヒゲ根を出して、他の樹木石垣などをはいのぼる[6][4][5]。ブドウ科のツタよりも茎の太さは太くなり、這い上がる高さも高くなる[5]

は厚く質で、長さ1.5 - 5センチメートル (cm) の葉柄をもって茎に互生する。葉の形は、若枝のものは卵円形または菱形状卵形で葉先が3 - 5裂するが、古い枝の葉は菱形状卵形または卵状披針形で先が尖り葉先は裂けない[6][4]葉身は長さ3 - 7 cm、幅2 - 5 cmになる[4]。ツタとは異なり、常緑のため緑色の葉を一年中つけている[7]

花期は秋(10 - 11月ごろ)[6]。茎の先に1個から数個の散状花序を出して、小花を多数つける[4]は5弁花で黄緑色[6]花弁の長さは3mmになる。雄蕊は5本つく。

果期は翌年の春(4月ごろ)で[6][4]、黒く熟した径6 - 7ミリメートル (mm) の球形をした果実をつける[4]

  • ヒノキに気根を出しながら這い登るキヅタ
    ヒノキに気根を出しながら這い登るキヅタ
  • 高木を這い登る
    高木を這い登る
  • 葉先が3裂した若枝の葉
    葉先が3裂した若枝の
  • 黄緑色の5弁花で雄蕊は5本
    黄緑色の5弁花で雄蕊は5本
  • 果実

分布・生育地

東アジア朝鮮日本中国南部、台湾に分布する[6]。日本では北海道南部、本州四国九州琉球(南西諸島)に分布する[6][4]

低地の山野に生える[6]。耐寒性が強く、日陰でも良く育つ[6]


近縁種

詳細は「キヅタ属#主な種」を参照
オカメヅタ Hedera canariensis
日本でもグランドカバー観賞用として庭や鉢に植栽され、ヘデラ・カナリエンシス、カナリーキヅタなどの名前で知られている[4]。乾燥に強く生育が旺盛である。斑入りの品種が好まれる[4]
セイヨウキヅタ Hedera helix
別名、アイビー、ヘデラ・ヘリックス。ヨーロッパに分布するキヅタのなかまで、緑化植物として日本にも輸入されている[7]。葉は明るい緑色で、しばしば5裂している[7]。日本では多くの場合、壁よりも道路脇などの植え込みに使われることが多い[7]

注と出典

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hedera rhombea (Miq.) Bean キヅタ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月5日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hedera tobleri Nakai キヅタ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月5日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “BG Plants簡易検索結果表示”. 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList). 千葉大学. 2015年12月24日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l 西田尚道監修 志村隆・平野勝男編 1997, p. 240.
  5. ^ a b c 辻井達一 2006, p. 124.
  6. ^ a b c d e f g h i j k 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 145.
  7. ^ a b c d 辻井達一 2006, p. 126.

参考文献

  • 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、124 - 127頁。ISBN 4-12-101834-6。 
  • 西田尚道監修 志村隆・平野勝男編『日本の樹木』 5巻、学習研究社〈増補改訂 フィールドベスト図鑑〉、2009年8月4日、240頁。ISBN 978-4-05-403844-8。 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、145頁。ISBN 4-522-21557-6。 
  • 佐竹義輔ほか編『日本の野生植物 木本 2』平凡社、1989年。ISBN 4-582-53505-4。 
  • 茂木透 写真『樹に咲く花 離弁花2』高橋秀男・勝山輝男 監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2000年、694-695頁。ISBN 4-635-07004-2。 

関連項目

ウィキスピーシーズにキヅタに関する情報があります。
ウィキメディア・コモンズには、キヅタに関連するカテゴリがあります。

外部リンク

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