ベルナルド・アチャーガ

この名前は、スペイン語圏の人名慣習に従っています。第一姓(父方の姓)はイラス第二姓(母方の姓)はガルメンディアです。
ベルナルド・アチャーガ
Bernardo Atxaga
誕生 (1951-07-27) 1951年7月27日(72歳)
スペインの旗 スペインギプスコア県アステアス(スペイン語版)[1]
職業 著作家
言語 バスク語
国籍 スペインの旗 スペイン
ウィキポータル 文学
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ベルナルド・アチャーガ(Bernardo Atxaga, 1951年7月27日 - )は、スペインギプスコア県出身のバスク語作家。本名はホセバ・イラス・ガルメンディア(Joseba Iraz Garmendia)。長編小説や短編小説に加え、児童や青少年向きの物語、ラジオ脚本、戯曲、作詞、エッセイなどの幅広い分野で活動している[2][3]。バスク地方の自然や人間を描くことをライフワークとしている[2]エウスカルツァインディア(バスク語アカデミー)の正会員である[3]

経歴

ビルバオ大学(現・バスク大学)で経済学の学位を取得し[1]バルセロナ大学で哲学と文学を学んだ。経済学者、書店経営者、バスク語教員、出版業者、ラジオの台本作家として働き、1980年に専業の作家となった。アチャーガは概してバスク語で執筆するが、自らの著作をカスティーリャ語に翻訳するセルフトランスレーションの活動も行っている。バスク文学の歴史について言及して、「若い頃に3年間でバスク語文学の全作品を読み終えてしまった」と、冗談めかして語ったことがある[2]

1972年頃に執筆活動を始め[2]、同年に「エウスカル・リテラトゥラ」(バスク文学)に寄せたバスク語作家についてのアンソロジーがアチャーガ初の出版物となった。1976年には初の短編『Ziutateaz』を出版し、1978年には初の詩集『Etiopia』を出版した[2]。1988年に出版した短編集『オババコアック』で一躍有名となり、スペイン国民小説賞などを受賞した。この短編集は20言語以上に翻訳されており、2004年には中央公論新社がカスティーリャ語版(アチャーガによるセルフトランスレーション)から訳した日本語版を出版している。1999年にはイギリスのオブザーバー紙によって「21世紀に活躍が期待される書き手」に選出された[4]。2000年にはホセ・アンヘル・アスクンセがアチャーガの伝記を出版した。2005年には『オババコアック』を原作としたモンチョ・アルメンダリス監督による映画『オババ(スペイン語版)』が公開され、ピラール・ロペス・デ・アジャラゴヤ賞助演女優賞にノミネートされた。原作はバスク語で書かれたが、映画版はカスティーリャ語で製作されている[5]

受賞

  • 1978年 スペイン批評家賞 - 『エチオピア』
  • 1985年 スペイン批評家賞 - 『兄弟』
  • 1989年 スペイン国民小説賞 - 『オババコアック』
  • 1989年 スペイン批評家賞 - 『オババコアック』
  • エウスカディ賞 - 『オババコアック』
  • Millepages賞 - 『オババコアック』
  • 1997年 バスク児童文学賞 - 『Xola eta basurdeak』

邦訳作品

  • 『オババコアック』西村英一郎訳、中央公論新社、2004年
  • 『アコーディオン弾きの息子』金子奈美訳、新潮社、新潮クレスト・ブックス、2020年

作品

小説

  • Obabakoak (1988)
    • Margaret Jull Costa訳による英語版は1992年にロンドンのHutchinsonが出版
    • 『オババコアック』西村英一郎訳、中央公論新社、2004年
  • Behi euskaldun baten memoriak (Pamiela, 1991)
    • 英語訳は『Memoirs of a Basque Cow』
  • Gizona bere bakardadean (Pamiela, 1993)
    • Margaret Jull Costa訳による英語版『The Lone Man』は1996年にHarvillが出版
  • Zeru horiek (1996)
    • Margaret Jull Costa訳による英語版『The Lone Woman』は1999年にHarvillが出版
  • Soinujolearen semea (2003)
    • Margaret Jull Costa訳による英語版『The Accordionist's Son』は2007年にHarvill Seckerが出版
    • 日本語訳は『アコーディオン弾きの息子』
  • Zazpi etxe Frantzian (2009)
    • Margaret Jull Costa訳による英語版『Seven Houses in France』は2011年にHarvill Seckerが出版
  • Borrokaria (2012)
    • Amaia Gabantxo訳による英語版『The Fighter』はEtxepare Basque Instituteが出版

短編集

  • Bi anai
    • 英語版『Two Brothers』は1985年にEreinが出版
    • 日本語訳は『兄弟』
  • Bi letter jaso nituen oso denbora gutxian
    • 英語版『Two letters』1985年にEreinが出版
  • Henry Bengoa inventarium, Sugeak txoriari begiratzen dionean, Zeru horiek
    • 英語版『Henry bengoa inventarium. When the Snake looks at the Birds, The Lone Woman』は1995年にEreinが出版
  • Sara izeneko gizona
    • 英語版『The Man Named Sara』は1996年にPamielaが出版

詩集

  • Etiopia (Pott, 1978),
    • 英語訳は『Ethiopia』、日本語訳は『エチオピア』
  • Nueva Etiopia (Detursa, 1997)
    • 英語訳は『New Ethiopia』、日本語訳は『新エチオピア』

子供向け本

  • Chuck Aranberri dentista baten etxean (Erein, 1985)
    • 英語訳は『Chuck Aranberri At a Dentist』
  • Nikolasaren abenturak, Ramuntxo detektibe (Elkar 1979)
    • 英語訳は『Adventures of Nicholas, Ramuntxo Detective』
  • Siberiako ipuin eta kantak (Erein)
    • 英語訳は『Stories and Songs of Siberia』
  • Jimmy Potxolo, Antonino apreta, Asto bat hipodromoan, Txitoen istorio, Flannery eta bere astakiloak (Elkar)
  • Xolak badu lehoien berri (Erein, 1995),
  • Xola eta basurdeak (Erein 1996)
    • 英語訳は『Xola and the Wild Boars』
  • Mundua eta Markoni (BBK fundazioa, 1995)
    • 英語訳は『The World and Markoni』

その他

  • Ziutateaz (1976)
  • Lekuak (2005)

関連文献

  • 金子奈美「バスク語作家ベルナルド・アチャーガの文学と翻訳」2013年

参考文献

  • ベルナルド・アチャーガ『オババコアック』西村英一郎訳、中央公論新社、2004年
  • 萩尾生・吉田浩美『現代バスクを知るための50章』明石書店、2012年

脚注

  1. ^ a b Biografía de Bernardo Atxagaベルナルド・アチャーガ公式サイト
  2. ^ a b c d e アチャーガ(2004)、pp.403-414(訳者あとがき)
  3. ^ a b 萩尾ほか(2012)、pp.297-302
  4. ^ 新世紀・世界文学ナビ:スペイン語圏 12 ベルナルド・アチャーガ毎日新聞、2012年3月22日
  5. ^ 萩尾ほか(2012)、p.337

外部リンク

  • Bernardo Atxaga 公式サイト
  • Biography from the international literature festival berlin
  • Interview with Bernardo Atxaga The Guardian 2001年10月20日
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