別れる理由

曖昧さ回避 渡辺淳一の「別れぬ理由」とは異なります。

別れる理由』(わかれるりゆう)は、小島信夫の長篇小説。1968年〜81年にわたり文芸誌「群像」に長期連載され、翌1982年、講談社より全3巻の単行本として出版された。

第35回野間文芸賞、第38回日本芸術院賞受賞。

あらすじ

1968年10月から「町」という題の連載が始まるが、その第10回が「別れる理由」と題され、1973年から「町」がなくなり、「別れる理由」として以後12年間にわたって連載される。内容は基本的に小島自身の生活記録だが、そこに夢などさまざまな要素が入り込む。「町」の第一回から第九回までは短編集『ハッピネス』に入っている。語り手で主人公は前田永造となっている。のち文壇のパーティに出て、柄谷行人などが実名で登場したりして、話題になった。

評価

その型破りな内容から毀誉褒貶が激しい。友人であった矢内原伊作宇佐見英治から批判を受けたり、日本芸術院賞受賞パーティーにて、当時・自民党政調文教部会長だった森喜朗が「(『別れる理由』を)ぼくは認めないよ」と、小島本人に直接述べたことを小島自身が証言している[1]

評論家坪内祐三による作品論『「別れる理由」が気になって』(講談社)がある。

書誌情報

  • 『別れる理由』(1982年 講談社 全3巻)
    • Ⅰ ISBN 9784062001205
    • Ⅱ ISBN 9784062001212
    • Ⅲ ISBN 9784062001229
  • 『小島信夫長篇集成4 別れる理由Ⅰ』(2015年 水声社 ISBN 9784801001145)
  • 『小島信夫長篇集成5 別れる理由Ⅱ』(2015年 水声社 ISBN 9784801001152)
  • 『小島信夫長篇集成6 別れる理由Ⅲ』(2015年 水声社 ISBN 9784801001169)
  • 『別れる理由』(2019年 小学館 全6巻[2]
    • 1 ISBN 9784093523714
    • 2 ISBN 9784093523738
    • 3 ISBN 9784093523745
    • 4 ISBN 9784093523776
    • 5 ISBN 9784093523783
    • 6 ISBN 9784093523806

関連項目

脚注

  1. ^ 小島信夫『小説作法』中央公論新社〈中公文庫〉、2023年4月。ISBN 978-4-12-207356-2。 pp410 - 411
  2. ^ 講談社版・水声社版の1冊をさらに2冊に分けて全6分冊化。
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