周書

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二十四史
二十四史
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中華民國版『清史(中国語版)
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中華人民共和国版『清史(中国語版)

周書』(しゅうしょ、繁体字: 周書; 簡体字: 周书; 拼音: Zhōu Shū; ウェード式: Chou-shu)は、令狐徳棻らが太宗の勅命によって撰した紀伝体の断代史で、二十四史の一つである。西魏北周両朝の歴史を記録した正史である。『北周書』(ほくしゅうしょ)、『後周書』(こうしゅうしょ)とも呼ぶ。50巻、636年(貞観10年)に完成した。

成立

秘書丞であった令狐徳棻は、高祖李淵武徳中(618年 - 627年)に、未撰修であった北斉・北周・梁・陳・の五朝の正史の編纂を上表した。高祖は詔して諸臣に論議させたが、結局完成には至らなかった。628年(貞観2年)に、房玄齢を最高責任者の総監とする五朝史編纂事業が始まり、完成に至るが、本書はその一つである。史論部分は、岑文本によると言われている。

本書の基づいた資料は、隋の牛弘が書いた国史(未完成)18巻等とされている。本紀は西魏の宰相であった宇文泰に始まり、北周5帝の本紀が続く。列伝は皇后列伝に始まり、宗室や諸臣の列伝が続き、最後に儒林・孝義・芸術などの伝目が立てられる。外国伝を「異域伝」と称している点が、他の正史とは異なっている。また、巻48には、江陵に樹立された傀儡政権である後梁の記録が見られる。

評価

本書が依拠した牛弘らの諸書は、西魏・北周系の流れを受けた隋人の手になるものであり、北周にとって都合の悪い記事を避け、曲筆が多かったとされる。令狐徳棻は唐朝の臣下であるのに、牛弘らの曲筆を踏襲しているとして、後世批判されている。

魏書』や『北斉書』と同様に、本書も唐・の何れかの時期に散逸したため、北宋の仁宗代に校訂が行われたが、また散逸し、後の人が『北史』などによって補っている。最初、その後補部分には校語をつけていたが、それも、後には不明になってしまった。『二十二史考異』では、史臣論の部分が欠落する巻24・26・31-33が原本では無いと述べられ、巻31-32は『北史』を丸写ししたものであり、巻33は少し異同が存し、巻24・26は『北史』とも相違すると述べている。また、その他の部分にも誤脱や欠落が少なくないという。

内容

帝紀

  1. 帝紀第一 - 文帝
  2. 帝紀第二 - 文帝下
  3. 帝紀第三 - 孝閔帝
  4. 帝紀第四 - 明帝
  5. 帝紀第五 - 武帝上
  6. 帝紀第六 - 武帝下
  7. 帝紀第七 - 宣帝
  8. 帝紀第八 - 静帝

列伝

  1. 列伝第一 皇后 - 文帝元皇后叱奴皇后・孝閔帝元皇后・明帝独孤皇后・武帝阿史那皇后李皇后・宣帝楊皇后朱皇后陳皇后元皇后尉遅皇后・静帝司馬皇后
  2. 列伝第二 - 邵恵公顥・杞簡公連・莒荘公洛生・虞国公仲
  3. 列伝第三 - 晋蕩公護叱羅協馮遷
  4. 列伝第四 - 斉煬王憲
  5. 列伝第五 - 文閔明武宣諸子
  6. 列伝第六 - 賀抜勝賀抜允賀抜岳侯莫陳悦念賢
  7. 列伝第七 - 寇洛李弼李暉・李曜・于謹
  8. 列伝第八 - 趙貴独孤信侯莫陳崇
  9. 列伝第九 - 梁禦若干恵怡峯劉亮王徳
  10. 列伝第十 - 王羆・王慶遠・王述王思政
  11. 列伝第十一 - 達奚武侯莫陳順豆盧寧・豆盧永恩・宇文貴楊忠・王雄
  12. 列伝第十二 - 王盟王勵王懋賀蘭祥尉遅綱叱列伏亀閻慶
  13. 列伝第十三 - 尉遅迥王謙司馬消難
  14. 列伝第十四 - 周恵達楊寛楊鈞柳慶柳機柳弘
  15. 列伝第十五 - 蘇綽蘇椿
  16. 列伝第十六 - 盧弁
  17. 列伝第十七 - 李賢・李遠李基
  18. 列伝第十八 - 長孫倹長孫紹遠斛斯徴
  19. 列伝第十九 - 赫連達韓果蔡祐常善辛威厙狄昌田弘梁椿梁台宇文測
  20. 列伝第二十 - 史寧陸騰賀若敦権景宣郭賢
  21. 列伝第二十一 - 王傑・王勇・宇文虬・宇文盛・耿豪高琳李和伊婁穆楊紹・王雅・達奚寔劉雄侯植
  22. 列伝第二十二 - 竇熾・竇善・于翼
  23. 列伝第二十三 - 韋孝寛・韋敻・梁士彦
  24. 列伝第二十四 - 申徽陸通柳敏盧柔唐瑾
  25. 列伝第二十五 - 厙狄峙楊薦趙剛・王慶・趙昶王悦趙文表
  26. 列伝第二十六 - 趙善元定楊𢷋・裴寛・楊旉
  27. 列伝第二十七 - 鄭孝穆崔謙崔猷裴侠薛端薛善
  28. 列伝第二十八 - 鄭偉・楊纂・段永王士良崔彦穆令狐整司馬裔裴果
  29. 列伝第二十九 - 寇儁韓褒趙粛・徐招・張軌・李彦・郭彦裴文挙
  30. 列伝第三十 - 蘇亮蘇湛柳虯呂思礼薛憕薛寘李昶元偉
  31. 列伝第三十一 - 韋瑱梁昕皇甫璠辛慶之辛昂王子直・杜杲
  32. 列伝第三十二 - 尉遅運王軌宇文神挙宇文孝伯顔之儀楽運
  33. 列伝第三十三 - 王褒・庾信
  34. 列伝第三十四 - 蕭撝蕭世怡蕭円粛蕭大圜宗懍劉璠柳霞
  35. 列伝第三十五 - 李延孫韋祐韓雄陳忻魏玄
  36. 列伝第三十六 - 泉企李遷哲楊乾運扶猛陽雄席固任果
  37. 列伝第三十七 儒林 - 盧誕盧光沈重樊深熊安生楽遜
  38. 列伝第三十八 孝義 - 李棠柳檜杜叔毗・荊可・秦族・皇甫遐・張元
  39. 列伝第三十九 芸術 - 冀儁蔣昇姚僧垣黎景熙趙文深・附衛元嵩褚該
  40. 列伝第四十 - 蕭詧
  41. 列伝第四十一 異域上 - 高麗百済・蛮・獠・宕昌鄧至・白蘭・稽胡庫莫奚
  42. 列伝第四十二 異域下 - 突厥吐谷渾高昌鄯善焉耆亀茲于闐嚈噠粟特安息波斯

参考文献

中国語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります。
周書