ペイディッポス
ペイディッポス(古希: Φείδιππος, Pheidippos, ラテン語: Pheidippus)は、ギリシア神話の人物である。ヘーラクレースの子テッサロスの子で、アンティポスと兄弟[1][2][3]。
神話
ヘレネーの求婚者の1人で[4]、トロイア戦争ではギリシア軍の武将の1人として、アンティポスとともにコース島の軍勢30隻を率いて参戦した[1][2][5]。ギリシア軍がミューシアの王テーレポスと戦ったさいには、トレーポレモス、アンティポスとともにギリシア軍の使者としてテーレポスの王宮に赴き、和睦の交渉をした[6]。戦後、ペイディッポスはメネステウス、アンティポス、エレペーノールの部下ら、ピロクテーテースの船団とともにミマース岬まで航海したのち、アンドロス島、次いでキュプロスに流されて移住した[7]。あるいはアンドロス島に移住した[8]。
一説によるとペイディッポスとアンティポスの子孫はテスプローティア地方からペーネイオス河流域に攻め入り、その地をテッサロスの名にちなんでテッサリアー地方と名付けたとされるが[3]、ツェツェースによればトロイア戦争後、兄弟のアンティポス自身がテッサリアー地方に攻め入って、テッサリアーと呼んだことになっている[7]。
脚注
参考文献
- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- ストラボン『ギリシア・ローマ世界地誌』飯尾都人訳、龍渓書舎(1994年)
- 『ディクテュスとダーレスのトロイア戦争物語 トロイア叢書1』岡三郎訳、国文社(2001年)
- ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫(2005年)
- ホメロス『イリアス(上)』松平千秋訳、岩波文庫(1992年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店(1960年)